胃潰瘍
胃潰瘍とは
「潰瘍」は、粘膜や角膜、皮膚などの組織に欠損が起こった状態です。胃粘膜に炎症が起こり、胃液に含まれる物質によって胃壁が深く傷つけられた状態を胃潰瘍と言います。胃潰瘍を起こす原因は主にピロリ菌の感染とストレスですが、ほかにも鎮痛剤ののみすぎやステロイド剤など様々です。
胃潰瘍の症状
みぞおち辺りの腹痛
胃潰瘍になると腹痛を起こし、みぞおち辺りに痛みが出ます。胃潰瘍の場合は、食事中や食後に痛みが現れます。満腹まで食べると痛みが長時間続きます。一方、空腹時にみぞおち辺りが痛む場合は十二指腸潰瘍の可能性が考えられます。気になる腹痛がある場合は、早めにご相談ください。
酸っぱいげっぷ・胸焼け
胃酸過多によって胸焼けや酸っぱいげっぷが出ます。また、食道に胃液が逆流して酸っぱいげっぷが起こることもあります。
吐き気・嘔吐
胃液の過剰分泌が起こり、吐き気や嘔吐が現れることがあります。
食欲不振・体重減少
吐き気や嘔吐などから食欲不振に陥ることがあります。体重が減少する場合もあります。
吐血・下血
潰瘍ができている部分の血管が破れることで下血や吐血を起こすことがあります。黒っぽいタール便や黒褐色の吐血があった場合は胃潰瘍が疑われます。
背中の痛み
胃潰瘍や十二指腸潰瘍による背中の痛みが起こることがあります。一般的によくみられる腰痛と軽視されがちですが、背中の痛みが長引く場合や突然痛みが起こった場合は、早めにご相談ください。
胃潰瘍の原因
ストレス
精神的なストレスや睡眠不足、過労などの肉体的ストレスは、過度の負担がかかると胃潰瘍を引き起こしてしまいます。
ピロリ菌の感染
胃潰瘍の患者様の約8割がピロリ菌感染が原因とされています。ピロリ菌に感染すると、慢性的な胃炎を起こし、徐々に胃潰瘍に進行します。ピロリ菌感染が陽性だった場合は、除菌治療を行います。
胃に負担をかける嗜好品
刺激の強い香辛料やカフェイン、熱すぎる・冷たすぎる飲食物の摂り過ぎは胃に大きな負担がかかります。
薬の長期使用
非ステロイド系消炎鎮痛薬などの強い薬は胃粘膜が荒れるという副作用があります。これらを長期間使用することで、胃潰瘍になることがあります。薬の使用は、必ず医師の指示に従って行ってください。
喫煙・飲酒
飲酒は胃に負担をかけるため、飲酒習慣がある方は過度の飲酒を控えてください。また、喫煙は、胃粘膜の血行が滞るため注意が必要です。
不摂生・不規則な食生活
暴飲暴食など不摂生、不規則な食生活は胃に負担をかけます。また、消化機能に負担がかからないよう、就寝する3時間前までには夕食を済ませてください。
胃潰瘍の治療
初期段階の主な治療は、薬物療法を行います。医師の処方に従って服用します。3カ月程で治療効果が得られます。また、ピロリ菌感染を起こしている方は除菌治療が必須です。その後は生活習慣を改善することで再発を防ぎます。強いストレスに晒されている場合は、ストレスを上手に発散する方法を見つけることをお勧めしております。適度な休息と十分な睡眠、健康的な食事習慣で胃への負担を軽減します。喫煙習慣や飲酒習慣がある方は、適量を心がけてください。一度胃潰瘍になった方は禁煙を推進しております。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍とは
十二指腸粘膜が胃酸によって炎症を起こし、深くえぐられた状態が十二指腸潰瘍です。潰瘍が深刻な状態になると、出血性十二指腸潰瘍や十二指腸潰瘍穿孔を引き起こしてしまいます。症状は、下血や吐血、激痛などが起こります。十二指腸は潰瘍の状態によって変形するため、狭窄を起こしたり、食べ物の通過障害を起こすことがあります。
十二指腸潰瘍の症状
みぞおちや上腹部の痛み
空腹時にみおぞち辺りが痛くなります。
背中の痛み
十二指腸は背中側にあるため、潰瘍ができると背中に痛みが起こることがあります。
吐き気や嘔吐
吐き気や嘔吐、不快感が起こります。
タール便
潰瘍から出血が起こると黒っぽいタール便が出ます。
十二指腸潰瘍の原因
胃や十二指腸は、粘液によって胃壁や粘膜が胃酸によって傷が付かないように守られています。ピロリ菌感染や鎮痛剤ののみすぎなどの影響で、粘液の防御機能が低下すると、粘膜が胃酸に晒され、炎症やただれ、潰瘍などができてしまいます。
十二指腸潰瘍の治療
主に、胃酸抑制薬や粘膜保護薬などによる薬物療法を行います。ピロリ菌感染が原因の場合は、ピロリ菌除菌治療を行います。他の疾患の治療薬による影響が考えられる場合は、薬の変更も検討します。