日帰り手術について
お勤めされている方や育児、介護などでご自宅を長時間空けられない方も、入院加療が必要ないため、安心して痔の治療を受けていただけます。手術治療を行った当日からご自宅で過ごせるので、速やかに日常生活を送ることができます。
日帰り手術の利点
入院による治療の必要がなく、手術治療をした後はそのままご自宅にお帰りいただけます。ご自宅で安静に過ごしながら自己管理を行うことで、日常生活を速やかに取り戻すことができます。日帰り手術について、また術後のご自宅での過ごし方など前もって丁寧にご説明しております。ご不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
医療費を抑えることが可能です
これまで痔の治療は、約1~2週間程の入院加療が必要でした。このため、入院費を含む多額の医療費がかかっていました。日帰り手術では入院費用がかからないため、大幅に医療費を抑えることができます。
入院準備が必要ありません
入院における様々な準備が要りません。入院生活に必要な物品の準備のほか、家事の段取りや仕事のスケジュール調整などを行わなくて済みます。患者様にご来院いただくだけで、ご家族にとってもご負担がありません。
日帰り手術の問題点
日帰り手術にはメリットがたくさんありますが、痛みや出血などの問題点もあります。痛みには痛み止め薬を内服するなど、適切な対処を行います。また、出血については術後ある程度は続くことを想定ください。当院では、痛みや出血について、術前にしっかりとご説明しております。日帰り手術について、入院加療の必要はないものの、ご自宅で自己管理を行っていただく必要があるものとして、患者様にご説明しております。
日帰り手術の条件
痔の日帰り手術は、以下の条件に当てはまる方が受けることができます。
- 日帰り手術ができると医師に判断された方。
- 手術翌日から術後約2か月間、1週間ごとに通院できる方。
- 万が一異常があった場合、すぐに来院できる方。
痔の種類と対応する治療法
日本人の3人に1人は
痔で悩んでいるといわれています。
痔には大きく分けて「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「あな痔(痔ろう)」に分けられていますが、それぞれ症状は異なります。
痔の患者様の中でもっとも割合が高いのは 「いぼ痔(痔核)」です。
いぼ痔はさらに、直腸側にできる「内痔核」と、肛門側にできる「外痔核」に分けられます。
内痔核が大きくなって脱出するようになると、肛門側の痔核、つまり外痔核を伴って、「内外痔核」という状態になることもあります。
いぼ痔(痔核)
症状
内痔核
痛みはほとんどありませんが、排便時に出血や脱出(いぼが飛び出る)の症状がでます。
脱出すると異物感や痛みを感じます。
外痔核
出血はあまりありませんが、腫れて強い痛みを感じることが多いです。
軽症・重症に合わせた治療方法
坐薬および飲み薬
一日1〜2回、坐薬を肛門に入れていただき、飲み薬を飲んでいただきます。
症状が軽い方、初回の方は、これだけで治まる方も多くおられます。
ジオン注射
内痔核で出血、脱肛のある方は、ジオン注射で治療できます。
処置の時は少し鎮静剤で眠っていただき、肛門鏡を入れて内痔核にジオンを注射するだけです。
日帰りでの治療が可能で、翌日からは痛みもほぼなく、快適に生活できます。
ジオン注射+外痔核切除
内痔核が大きくなり、外痔核を伴っている場合は、ジオン注射だけでは治りません。外痔核にはジオンが効かないためです。
この場合、局所麻酔や腰からの下半身麻酔をかけて、外痔核を切除し、内痔核にはジオン注射を打つことで、痛みも少なく、日帰りで手術を終えることが可能です。
切れ痔(裂肛)
特徴
切れ痔は硬くて大きな便を無理に出したり、ひどい下痢で勢いよく出した場合に、肛門が切れてしまった状態です。慢性化してくると、見張りイボという小さなイボができてくることもあります。また、外痔核や肛門ポリープが原因で出来てくる随伴性裂肛のタイプの方は、手術が必要になることが多いです。
症状
排便時に強い痛みと出血があり、排便後も痛みが続くことがあります。
軽症・重症に合わせた治療方法
坐薬軟膏+軟便剤
肛門に軟膏タイプの坐薬を1日1〜2回入れていただきます。これで切れた傷を治します。
さらに、(便のかたい方は)軟便剤を飲んでいただき、便をソフトクリームのような柔らかい状態にしていただき、傷への負担を減らします。これによって多くの方は改善に向かいます。
手術
薬で良くならない方は、切れ痔部分を切除し、キツすぎる肛門括約筋をやわらげる処置をします。この処置は、腰からの下半身麻酔で行います。また、外痔核や肛門ポリープを伴っている方は、これが原因で切れ痔になっていることがありますので、これも切除します。(日帰り手術が可能です。)
あな痔(痔ろう)
特徴
痔瘻という状態です。初期症状として、肛門の周りが腫れて痛くなります。この時、直腸から肛門にバイキンが入って、膿がたまっています。この段階で診察に来られた場合は、切開して膿を出します。または自然に破れて膿が出てくる方もおられます。
そして直腸から肛門の横に膿の管が残ります。これがあな痔です。あな痔は切除しないと治りませんが、当院では、ほとんどのあな痔も日帰り手術で治療が可能です。
症状
肛門部が腫れて痛くなり、赤くなったり、熱が出たりすることもあります。
あな痔は手術をしないと
治りません。
手術
腰から下半身麻酔をし、痔瘻の道を切開します。傷がやや大きく、術後は痛みがあります。
お勤めの方は数日の仕事の休みを取られた方が無難です。
20代〜30代の若い方や、多発痔瘻の方は、クローン病の詳しい検査が必要になる場合があります。
当院ではクローン病の検査、治療も行なっておりますので、安心してご受診ください。
痔の日帰り手術の流れ
まずは、医師の診察に
ご来院していただきます
まずは、初回の診察が必要です。
診察は視診、触診と肛門鏡で行います。
診察後、痔の手術を希望される方は、手術のご予約が必要となります。
- 診察は全て服を脱ぐ必要はありません。お尻の診察ができる範囲まで服をずらして、視診、触診と肛門鏡で行います。
- 痛みはほとんどなく、診察の所要時間は約2〜3分です。
手術当日、坐薬を入れて
排便後にご来院ください
当日は、坐薬をいれて排便された後のご来院をお願いしております。
実際のご来院時間は、患者様ごとに異なります。
ご予約時に手術当日のご来院時間をお伝えいたします。
- 手術当日の朝は絶食ですが、水分は摂取していただいて構いません。
- 常用薬は受診時にご説明した通りに服用もしくは中止をお願いします。
午前中(月曜・木曜)に
手術を行います
当日の午前中にうつ伏せの状態で手術を行います。
麻酔の種類によって痛みのあるものから全くないものまであります。
手術時間は数分から20分程度です。
手術当日の午後、目が覚めたら診察してご帰宅いただけます
午後に目が覚めたら、診察してご帰宅いただけます。
化膿止めや便を軟らかくする薬、痛み止めなどを処方させていただきます。
週1回、診察を
受けていただきます。
週1回ご予約をして、ご来院いただき、キズの状態を診察させていただきます。
手術の内容によって変わりますが、注射のみの治療なら概ね1ヵ月、注射+切除の場合は 1ヵ月半、痔瘻は2ヵ月程度、通院が必要です。
- 病状により期間が変わることがあります。
- 痔瘻の方は術後5日程度、安静にしていただくことが理想です。
手術後の経過に関する注意点
排便が可能となる時期について
排便は翌日から可能です。痛みを怖がって我慢しないようにしましょう。なるべく毎日柔らかく排便することで術後経過がよくなります。
仕事復帰の時期について
術式によって休んでいただく日数は変わりますので、ご相談ください。
副作用が起きることがあります。
定期的に通院してください。
ジオン注射による治療法は、痛みが続く、血が出る、肛門が狭くなって排便がしづらくなる、熱が出るなどの副作用が現れることがあります。
そのため、定期的に通院していただく必要があります。
気になる症状が現れた場合、
直ちに受診してください。
普段と違う気になる症状があらわれた場合には、直ちに受診してください。 副作用が隠れていることもありますので十分に検査・診察の上、症状に応じた適切な治療を行います。副作用などに対する処置が必要になった場合には、状況に応じてお薬(炎症を抑えるための抗生物質や消炎鎮痛剤、あるいは便をやわらかくするための緩下剤)の投与、まれに追加の手術などを行う場合があります。
他の医療機関で直腸肛門の診察を
受けるときには、必ず本剤による治療を受けたことをお伝えください。
本剤は痔核を固めて治す方法です。治療後は注射した場所が硬くなっていることがあり、この症状を誤って悪い病気と診断される可能性があります。
他の医療機関で直腸肛門の診察を受けられる場合は、ジオン手術による治療を受けたことを必ず申告してください。
手術費用のご案内
当院の症例に基づく診療実績から目安となる手術費用をご案内いたします。
ジオン注射 | 15,000円程度 |
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ジオン注射を伴う 痔核根治術 |
23,000円程度 |
あな痔(痔瘻)単純 | 16,000円程度 |
あな痔(痔瘻)複雑 | 27,200円程度 |
裂肛根治手術 | 14,100円程度 |
裂肛根治手術+痔核根治術 | 30,500円程度 |
3割負担の場合の費用となります。
患者様おひとりおひとりに最適な検査、治療を行いますので、費用には多少の変動があります。